長﨑美柚 「楽しむ」ことが、私を強くする。(前編)
長﨑美柚 「楽しむ」ことが、私を強くする。(前編)
卓球王国2026年3月号掲載
2025年を戦い抜いた長﨑美柚が手にしたのは、あふれる才能に依存しない“自律”という名の武器だった。 過去への固執を捨て、卓球を「楽しむ」境地に至った時、かつての壁は扉へと変わっていった。 「100点満点」と断言する季節を越え、その視線は2年後の大舞台へ。 自らの足で歩き始めた才能が、光に満ちた1年を振り返る。
Interview by
中川 学Manabu Nakagawa

ながさき・みゆう 2002年6月15日生まれ、神奈川県出身。5歳から卓球を始め、全日本選手権バンビ、カブ、ホープスで優勝。2019年には世界ジュニア選手権で女子シングルス、女子ダブルスの2冠を達成。同年、プロツアー・グランドファイナル女子ダブルスで優勝し、世界一に輝く。世界選手権では18年と22年に団体銀メダル、23年に女子ダブルス銅メダル。25年WTTスターコンテンダー リュブリャナでシングルス優勝。世界ランキング15位(1月5日現在)。木下アビエル神奈川所属
所属変更を機に手にした、競技への「純粋な没頭」
「自分を一度、全部壊そうと思ったんです」。過去の戦績も、固定観念も捨て、ひとつずつ丁寧に成功を積み上げた長﨑美柚。そこから見えてきたのは、強敵との対峙を「面白い」と感じる純粋な境地だった。 すべてを自分で選び、その結果に責任を持つ。プロとしての自律が、彼女に「負けないための不自由さ」ではなく、「勝つための自由」を与えた。
●――2025年の1年間を振り返って、評価をつけると何点ですか? 長﨑美柚(以下・長﨑) 100点満点かなと思います。理由はいくつもありますが、一番はWTTスターコンテンダー リュブリャナで優勝できたことです。私にとって初めてのスターコンテンダーでの優勝でした。WTTではシーズンを通して、優勝、2位、3位と経験できました。本当に充実した1年だったと思います。 ●――結果以外で、シーズンを通して感じた手応えはありましたか? 長﨑 世界ランキングが上がったことは大きかったです。WTTのドロー(組み合わせ)の面でも変化がありました。これまでは早いラウンドで中国選手と当たることが多く、「もう少し違う組み合わせだったら」と思うことも正直、何度もありました。

