【People】岡田貴哉「卓球の歴史」を朝霞市博物館で見せる卓球大好き学芸員
岡田貴哉[朝霞市役所・朝霞市博物館学芸員]
卓球王国2026年12月号掲載

[おかだ・たかや]
1990年9月22日生まれ、愛知県出身。志段味中学時代に全国中学校大会(団体戦)に出場。菊里高、奈良教育大を卒業後、奈良県三宅町役場に入庁。その後、埼玉県朝霞市役所に転職し、文化財課にて学芸員として勤務
「何をやろうかと思った時に、一番自分が好きなものをやったほうがいいと思いました」
埼玉県朝霞市の朝霞市博物館で企画展「卓球の歴史」(11月23日まで。入館無料)が開催されている。この展示を企画したのが卓球大好き人間の岡田貴哉だ。大学時代に取得した「学芸員」としての資格を活かして開催した、「卓球の歴史」の企画展にぜひ足を運んでほしい。
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10歳から卓球を始めた岡田貴哉は、先輩たちが立ち上げた志段味中卓球部で、創部4年目にして東海大会3位となり、全国大会出場を果たした。
奈良教育大を卒業後は奈良県三宅町で公務員の道へ進み、最初は税務課に勤務。その後、東京に3年間出向となり、その時に結婚。そして退職したのちに朝霞市役所に入庁した。
「大学時代に学芸員の資格を取っていたため、市役所の異動で文化財課に配属され、たまたま今回その資格が活きました。私が学芸員として今そういう展示をやっているのは、運が良かったと言いますか……正直、使うとは思っていなかった資格でした」と笑う。
朝霞市博物館の学芸員となって6年目。自身が最も情熱を注いできた「卓球」をテーマにした展示会を企画することになった岡田。「何をやろうかと思った時に、一番自分が好きなものをやったほうがいいと思いました」。
いざ展示の準備を始めると、博物館という公的な場所ならではのテーマ選びの難しさに直面した。最新の卓球用具をただ並べるわけにはいかず、題材を「卓球の歴史」に絞り込んで調べるうちに、長年プレーヤーとして卓球に親しんできた岡田自身も大きな衝撃を受けたという。
「私も卓球の歴史のことを全然知らないことに気づいて……。たとえばスポンジラバーの歴史も、調べていく中で知ったんです。でも、これは私よりちょっと上の年代だったら当然のように知っている有名なことだったりするんですよね。そうした歴史の積み重ねのうえで、今の卓球があるんだなと実感しました」
「私にとっての思い出である『2009年世界選手権横浜大会』も、今の子どもたちにとっては知らない過去のこと。逆に、上の世代にとっての当たり前を私も知らない。卓球が今のようにメディアに取り上げられるようになるまでの裏の努力、そういう歴史の積み重ねを、卓球をやっている方にもやっていない方にも、実感してほしいなと思っています」
当初は「歴史」という制約に対して少し不自由さを感じていたものの、リサーチを重ねるうちにその意識は一変した。展示の準備を進める中で強く感じたのは、ルール・用具・技術、さらには時代の背景までもが相互に影響し合っているという「つながり」の面白さだった。
「めちゃくちゃ大変ですけど、単純に面白いです。『全部つながってるんだな』と。ルールが変われば技術が変わり、技術が変わると用具が変わる。あるいは、特定の技術が強すぎるとルールで制限がかかる。今までプレーヤー目線では『今はこの技術が流行っているな』としか考えていなかったのですが、ボールやラバーの変化によって打ち方が変わり、フォア主体の時代から両ハンドを使う時代へ変わっていく……そういうことが全部つながっているんだなと感じています」
最後に、岡田は今回の展示に向けた抱負をこう語ってくれた。
「大きく歴史をたどっていけるような展示にしていきたい。卓球をやっている人にも、卓球をやっていない人にも見てほしい」 (文中敬称略)


