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真説 卓球おもしろ物語6【成熟するヨーロッパの卓球 ~ “人類史上最高の守備範囲”を誇る、バーグマン】

〈その6〉卓球王国2020年12月号掲載

Text by

伊藤条太Jota Ito

『マンガで読む卓球ものがたり』の原作を担当する伊藤条太氏が、史実の背景にある「おもしろ秘話」も交えて、卓球の歴史をご案内。今回は、第二次世界大戦前後、卓球界を席巻したヨーロッパ卓球の裏話を紹介する。
●参考文献:『TABLE TENNIS COLLECTOR』ITTF

夢と消えた、アメリカの男子シングルス世界チャンピオン   

 1937年世界選手権バーデン大会で、フィンガースピンサービスの名手、ソル・シフは団体戦でなんと22戦21勝という破格の強さを見せ、アメリカ男子団体優勝の立役者となった(前回・その5参照)。
 当然ながら個人戦でも優勝候補の筆頭だったが、3回戦でフルゲームの大接戦の末にオーストリアの17歳の若者に敗れてしまう。その男こそ、後に“人類史上最高の守備範囲を誇る”と言われた、リチャード・バーグマンだった。バーグマンは最大の難関だったシフを倒すと、決勝でエーリッヒ(ポーランド)を破って優勝した。今も破られていない17歳9カ月、史上最年少の男子シングルス世界チャンピオンである。

“人類史上最高の守備範囲”を持つと言われたバーグマン

 ところでシフのフィンガースピンサービスは実際どれほどの威力だったのだろうか。その参考になる話がある。後年、シフは余興としてサービスを披露することがあったが、現役選手時代の高島規郎(1975年世界3位)がそれを受けている。以下は筆者が高島氏から直接伺った話だ。
 何かのオープニング・セレモニーで、会場に1台だけ出された卓球台でそれは行われた。シフのサービスの1球目、手元でボールが伸びてきたため高島氏がラケットを被せると、なんとボールは台の上に乗らず足元に落ちたという。観客は大笑い。
 次は、バック側に鋭く切れ込んで来る横回転が来たので、ラケットを斜めにして当てると逆の横回転で、ボールは真横に吹っ飛んだ。

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