卓球マニア濃縮エキス[卓球天国の扉]〈その16〉卓球選手の癖
卓球王国ブックス「卓球天国の扉」より 〈その16〉
卓球コラムニスト・伊藤条太氏による爆笑卓球コラム本『ようこそ卓球地獄へ』の続編。あなたはこの一冊で「天国の扉」を開けることになる。 ☆卓球マニア濃縮エキス☆

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第二章 卓球・妄想・卓球
卓球選手の癖
卓球をしていると「いったいどうしてそんな」と言いたくなるような動きをする人に出くわすことがある。
先日も卓球仲間との飲み会で、あるチームの極めて特徴的な選手の話になった。その選手は、サービスのときに必ず次のような儀式をするのだという。まずボールを短パンの左ポケットに入れて、左手を台に擦りつけて汗をぬぐう。ポケットからボールを取り出してサービスの構えに入るがトスはせず、そのまま左手を体から離したり近づけたりをなぜか3往復ほど繰り返す。次にその手はゆっくりと上昇して顔の高さにまで達し、いよいよトスをするかと思いきや、そこから元の位置までゆっくりと下降した後にやっとサービスを出すのだという。
そんなサービスを出されたら吹き出しそうなものだが、実際に対戦をした彼らにとっては笑いごとではないという。「考えてもみてください。これを1ゲームに10回、フルゲームにでもなれば50回やられるんですよ」と力を込める。最初はちょっと変わってるなと思う程度だが、試合が進むにつれてどんどんその動作が遅くなっていくように感じられ、そのうちレシーブのときにお尻をクイックイッと振る癖も気になり出し、ついには腹が立ってどうしようもなくなり、メチャ打ちをして負けてしまうのだという。その選手はとても良い人で、相手を怒らせて勝とうなどと考えるような人ではないそうだ。なんと皮肉な精神と肉体のアンビバレンツであろうか。

