卓球マニア濃縮エキス[卓球天国の扉]〈その17〉一流選手の回転
卓球王国ブックス「卓球天国の扉」より 〈その17〉
卓球コラムニスト・伊藤条太氏による爆笑卓球コラム本『ようこそ卓球地獄へ』の続編。あなたはこの一冊で「天国の扉」を開けることになる。 ☆卓球マニア濃縮エキス☆

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
第二章 卓球・妄想・卓球
一流選手の回転
一流選手のボールにはいったいどれくらいの回転がかかっているのだろうか。我々一般ファンは、彼らのボールを見ることはできても、触るチャンスはまずない。考えてみればなんともどかしい話だろう。
高校生のとき、元世界チャンピオンの伊藤繁雄が隣町に講習会にきた。そこで、町の一般の代表選手と模範試合が行われた。一球目、伊藤がバックハンドでストレートに長い下回転サービスを出した。これを誇らしき我が代表がドライブをしたが、なんとボールが台の上に落ちたのだ。ネットミスですらないテーブルミス。次のサービスもその次もボールはネットの中ほどにさえ持ち上がらなかった。伊藤繁雄のサービスの回転量は桁違いだったのだ。感心するというよりも、私は何か交通事故現場でも見てしまったような恐ろしい気持ちになったのだった。
次に同じような光景を見たのは大学生のときの東日本学生選手権だった。東北代表のペアが、当時明治大学の松下浩二・渋谷浩組と対戦した。東北代表のペアは、私の地元の卓球エリート連中である。そのエリートが試合前の練習で松下浩二のカットを打った一球目、ボールが台の下をくぐった。カットで世界で戦うということは、そういうことなのだ。

