文武両道を貫く秋田高校。その先にあった12年ぶりのインターハイ
伊藤条太の奇天烈逆も〜ション[一生の宝物]
卓球王国2026年9月号より

Text & Illustration by
伊藤条太Jota Ito
災害警報で学校から自宅待機令が出されて練習を中止にしたときには「練習しないんですか? 負けちゃいますよ」と脅された
何年か前、指導している中学生が初めて東北大会に出たときに、1年生の保護者全員にあるメールを出した。今年のメンバーが強いのは、たまたま小学校から卓球をやっている選手が5人も揃ったからで、普通はこうはいかないというメールだ。
事情を知らない保護者たちが、中学1年から始めた自分の子どもたちも東北大会に行けるもんだと思って、後で「なんでうちらの代だけ弱いんだ?」などと思われたら困るからだ。
県内随一の強豪地区であることもあって、週3日の夜練習では県大会に出られたら万々歳で、東北大会など夢のまた夢だった。
今思えば、その年の1年生は少し違っていた。まず、同学年から7人も夜練習に来ることが異例だった。それは上級生だけで団体戦を組めることを意味し、全員が中学スタートのチームにとってとてつもないアドバンテージだ。
おまけになぜだか異様にやる気があり、大会に出始めたのも早かった。3年生が東北大会を目指していたので初めて県外遠征をしたのだが、1年生にも形だけの案内を出したら軒並み参加希望を出してきたのだ。結果、入部して最初の大会が県外遠征という猛烈な状態となった。

