卓球マニア濃縮エキス[卓球天国の扉]〈その21〉小説 続・勉強やらせて
卓球王国ブックス「卓球天国の扉」より 〈その21〉
卓球コラムニスト・伊藤条太氏による爆笑卓球コラム本『ようこそ卓球地獄へ』の続編である『卓球天国の扉』(2015年発刊)。あなたはこの一冊で「天国の扉」を開けることになる。 ☆卓球マニア濃縮エキス☆

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第二章 卓球・妄想・卓球
小説 続・勉強やらせて
父の助言に従って、半年間卓球に集中した卓也は、なんとかセンター試験をくぐり抜け、東東大学というそこそこの大学のシェークドライブ学部に入学することができた。といって特別シェークドライブが好きなわけではない。たまたま二次試験の科目に得意なバックフリックとしゃがみ込みサービスがあっただけのことだった。また、何かとつぶしの効くシェークドライブ学部なら、将来就きたい職業も思いつかない卓也にとって好都合だった。
大学の初日、大学生になったことをまず実感したのは言葉遣いだった。高校まで「授業」と呼んでいたものは大学では「講義」だし「一時間目」は「一時限目」だし「先生」は「教官」だ。小学校から中学校にあがったとき、テストの問題文が「フォアハンドを打ってみましょう」から「打ちなさい」に変わり、さらに高校になると「打て」となって、そのたびに大人になったような心細いような気持ちになったものだったが、大学はその最終段階なのだ。
言葉遣いより大きな違いは教官だった。姿勢が違うのだ。高校までは、なんとか生徒の卓球を上達させようという熱心な先生が多かった。台を2台並べてのフットワークや、腰に30キロの砂袋をつけてのフットワークや真夏にストーブを焚いてのインターハイ対策など、生徒だけではなく、それに付き合う先生も瀕死の状態で授業をすることさえ珍しくなかった。

