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挑戦の地へ。マリオ・アミズィッチ「卓球は卓球。どこでも同じなんだよ。日本スタイル、ヨーロッパスタイルというものはないんだ」

卓球王国2003年2月号 【アーカイブ】挑戦の地へ。 Vol.5

Japanese raw gems polished in Germany!

日本男子の卓球を変えた男がいる。
マリオ・アミズィッチだ。指導の場は日本ではなくドイツだった。

Mario Amizic/マリオ・アミズィッチ
クロアチア出身、1954年10月31日生まれ。旧ユーゴスラビア代表で、24歳でプロコーチになる。プリモラッツを発掘したあと、86年に『ボルシア・デュッセルドルフ』のコーチに就任。その後、同クラブでロスコフ、フェッツナー、サムソノフ、メイスなどを育て、同クラブをヨーロッパチャンピオンに導いた。2000年1月に日本卓球協会の男子ジュニアコーチに就任。坂本竜介、岸川聖也、水谷隼などの選手を指導した
Photo 高橋和幸

Interview by

今野昇Noboru Konno

日本卓球協会は1997年、初めて外国人指導者であるソーレン・アレーン(スウェーデン)を監督として招聘した。当時、全盛を極めていたスウェーデン式の合宿や練習法を導入し、アレーンは中学・高校・大学・日本リーグという縦割りで分断された日本の組織体制を、横断的なものに改めようと苦心する。
しかし2年後、日本での指導に限界を感じて辞任することとなった。その「辞任劇」をヨーロッパから注視していたのがマリオ・アミズィッチである。当時、名門「ボルシア・デュッセルドルフ」のヘッドコーチを務めていた彼の指導力は、ヨーロッパで高く評価されていた。アレーンの退任後、日本卓球協会はアミズィッチと交渉を開始。日本でジュニア対象の合宿を何度か行い、アミズィッチはそこで坂本竜介・岸川聖也・水谷隼というダイヤモンドの原石を見出した。
そして、組織の壁を越えるのが困難な日本ではなく、その原石をドイツで磨くというアイデアを協会に提案したのである。

Interview マリオ・アミズィッチ  Mario Amizic

世界の卓球関係者は体のことを忘れ、技術だけを見てしまう。目先の成績を見てしまうけど、5年後、6年後を見なくてはいけない。

 日本の内側から改革を試みたのがソーレン・アレーン(元全日本監督)とするならば、マリオ・アミズィッチは実に巧みに外から日本の卓球を揺さぶり、刺激を与えている。
 ロスコフ、フェッツナー、サムソノフ、メイスという世界のトップ選手を育ててきたカリスマ指導者は実に繊細なコーチングを見せ、かつ職人的な丹念な指導を見せている。

●—日本のふたりがドイツに来てから2カ月過ぎたけど……。
「彼らがドイツに来る前は少し心配していたんだ。若い日本の少年が自分たちだけで、文化、メンタリティー、言葉、食べ物というすべてが違う環境で暮らすわけだから。でも、今は彼らが早くそれに慣れていることに驚いている」
●—日本の少年をドイツで生活、練習させるというアイデアはいつ頃から持ったのだろう。
「日本には子どもたちを教える優秀なコーチがたくさんいるけど、限界がある。ぼくが日本を訪れた頃から、日本選手が世界で勝つためには海外でプレーすることが必要だと感じた。日本での練習自体は問題はないけど、プロリーグに所属し、いろいろな国の選手とプレーできる経験が少ない。とてもハードだけど、若い選手にとってはとても貴重な経験を積める『学校』なんだ。
 練習のための練習では試合では生きない。試合を重ねることが強くなるための条件になる。だから、彼らふたりをドイツに呼ぶことを決めた。ただこれは、青森山田学園の木村隆文校長、仙台育英学園の加藤雄彦校長、日本卓球協会の木村興治専務理事という人たちのサポートがあったから実現できたことで、それがなかったらこのプロジェクトはできなかった。
 ふたりは予想以上に早く順応し、その上達ぶりも驚くほど早い。毎日、良い練習相手と質の高い練習ができるし、毎週末にはゲームを繰り返す。そのゲームでいろいろ勉強するし、考え方も変わっていくわけで、試合での経験とふだんの生活とのバランスをとることが良い選手になるための条件を作っていく。そうやって今シーズン、来シーズンで彼らのベース(基礎)を作ることが重要なんだ。
 とにかく、生活環境の違う中で彼らがそれらを克服して、卓球に集中できるようになったのはうれしいことだ。日本から遠く離れて、友だちもいないし、家族もいない中で多くの困難を乗り越えていると思うよ」

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